人なつこい笑顔を見せたあと、栗栖は俺の隣の椅子に座った。
「最初に挨拶をしたときには、こんなに早く赤井さんたちの映画に出演する機会があるなんて思ってもいなかったんで、すごい嬉しいんすよ。あ、オレ、コーラください」
きちんと椅子に座った栗栖は、フィルムや雑誌で見るよりも、小柄な印象があった。
「そう言ってもらえると、俺たちも嬉しいよ」
「いや、ホントですよ。前に出演した映画サークルの人たちに話したら、すごいすごいってさんざん羨ましがられたんすから」
「そんな、大袈裟だよ」
「あら、それは、本当よ」
運ばれてきたアイスティーにミルクを注ぎ入れながら、佐倉が栗栖に同意する。
「本当って何が?」
俺が尋ねるよりも前に、蒼山が佐倉に問いかける。
「あたしもね、今回二人の作品に出演するって話したら、サークルの子たちに羨ましがられたの。日程的なことがあって参加できないから諦めたけど、個人的に一緒の映画作ってみたいって思ってる人、多いみたいよ」
「そうなんだ」
なんとなく人ごとのように俺は応じてしまう。
「自覚のないところが余計にいいんでしょうけどね」
そして、再びカウベルが鳴る。三時ちょうど。一際背の高い男は、俺が顔を上げた瞬間、強面の表情に微かに笑みを浮かべ、まっすぐにこちらに歩いてきた。